全ては「Lチカ」から始まる
電子工作入門の定番として、LEDを点滅させる機構、いわゆる「Lチカ1」がある。「電子工作入門」で検索すると、様々な「Lチカ」を見ることができる。
私も、電子工作に取り組んでみたいと思った。きっかけは、小学生の子どもが学童保育で作ってきたおもちゃである。ピンポン玉の中にLEDが入っており、スイッチでこれを点灯させるというもの。点灯部分はキット化されており、創作部分はピンポン玉の飾り付け。お月見の季節だったので、ウサギが餅をついているような飾り付けをしてきた。これを、もっと風情あるものにできないか、と考えた。スイッチを入れたら点きっぱなしなのではなく、点滅させたい、しかも、車のウインカーのようなデジタルな点滅ではなく、じわじわ光ってじわじわ消える、ホタルのような点滅をさせたい。どうすればできるだろうか。

また、別の要望もあった。子どもの誕生日プレゼント用に、光るバースデーカードを作りたい。カードの周囲に配置したLEDが回るように点滅するというもの。「流星ウインカー」とも呼ばれるらしい2。
マイコンは使わない
これらを実現するために、最も簡単な方法は、Arduino、Raspberry Pi、PICなどのマイコンを使う方法だろう。させたい制御をプログラムとして書き込み、あとはマイコンを動かせばいい。正直、そんなに難しくない。
しかし、ここではマイコンを使わずにいきたい。理由は、小型化したいことと、安価に製作したいこと。サイズ的には電気的機構の全てをペットボトルのキャップに収めたい。また、再現性を担保する(誰でも作れるようにする)には、プログラミングして、書き込んで、という手順はハードルが高い。部品の組み合わせだけで実現したい。
学びの過程を共有:「作りたい」より分かりたい

ここで、私の作品としての最終形を示して、「これでできるで!」ということを書いてもいいのだが、それではあまりにももったいない。というのも、最終形にたどり着く過程で、様々な学びがあり、それを捨ててしまうのはもったいない。どこかで使えるかもしれない知見もあるので、順次書き残していきたい。私が得た知見も、そのほとんどがネット記事によるもの。つまり、私が書かなくても調べれば分かることばかりである。しかし、実際には一発でゴールにたどり着かなかった。その過程を示すことで、これから学ぼうとする人の一助になることを願っている。
私の作る資格試験関係の動画のコンセプトにしているのが、「受かりたいより、分かりたい」。資格試験に合格するための最短経路を示すのではなく、理解して、知見を自分のものにした上で合格したい、という思いからのもの。この「Lチカ」も、そんな思いで綴っていきたい。
記事の構成
このシリーズは、大きく2つのテーマがある。それは、LEDの「じわじわ点滅」と、「回転点滅」である。
この2つのゴールを目指して、
- 共通:単純に点滅させる方法(矩形波を出力する)
- じわじわ点滅させる方法(正弦波のようなものを出力する)
- 回転するように点滅させる方法(矩形波を順送りする)
を記していく。

